夕木春央『方舟』書評|閉鎖空間で暴かれる、人間の本性と“正しさ”の正体
「誰かひとりを犠牲にすれば、他の全員が助かる」
そんな状況に、もし自分が置かれたら──
あなたは、誰を選びますか?
◆ あらすじ(※ネタバレなし)
舞台は、地中深くに建てられた地下の別荘。
そこに集められた8人は、突如として外界との連絡が途絶え、閉じ込められてしまいます。
逃げ場のない空間。
徐々に減っていく酸素。
そして告げられる、衝撃のメッセージ。
「誰か一人を犠牲にしろ」
極限状態の中で、人々の本性が少しずつ暴かれていきます。
疑い。
葛藤。
絶望。
そして──“選択”。
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◆ 読んで感じたこと
読んでいて、何度もページを閉じたくなりました。
「もし自分がそこにいたら」と想像するのが、正直しんどかったです。
でも同時に、この作品は、目を逸らしちゃいけない
**“人間の本質”**を突きつけてくる。
誰かを救うって、綺麗事じゃできない。
「正しさ」って、こんなにも曖昧で、怖い。
◆ 読後に残ったもの
ずっと心に残っていたのは、たった一つの問い。
「正しさって、何だろう?」
誰かを裁くのも、助けるのも、
結局は“自分の基準”で決めてしまう。
そのことが、こんなにも怖くて、重いなんて。
◆ こんな人におすすめ
- 他人との関係に悩んでいる人
- 自分の「正しさ」に自信が持てない人
- 心を揺さぶるミステリーが読みたい人
◆ まとめ
『方舟』は、ただの密室ミステリーではありません。
人間の「判断力」や「正義感」の脆さを暴き、
「選ぶ」ということの怖さを教えてくれる物語でした。
読み終えたあと、
胸の奥にずっと沈黙が残る。
でもその沈黙こそが、
自分を見つめ直すきっかけになる。
そんな作品でした。
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