【読了】『国宝』吉田修一|芸に生き、愛に焦がれた男たちの「生き様」を見よ

ヒューマンドラマ

■ あらすじ(ネタバレなし)

舞台は昭和から平成へ――
長崎に生まれた孤児の喜久雄と、裕福な家に生まれた大輔。
境遇も性格もまるで違うふたりが、歌舞伎の世界で出会い、やがて「運命をともにする役者」として名を馳せていく。

ふたりの絆は、友情なのか、恋なのか、それとも“宿命”なのか。

名を刻むために芸に命を燃やす男たちの、激しくも切ない、人生の物語。


■ 印象に残ったポイント・感想

✦「芸は命だ」と教えてくれる圧倒的な熱量

歌舞伎という伝統芸能の世界の厳しさ、美しさ、狂気さえも描かれ、喜久雄の姿から目が離せませんでした。
彼がどこまでも芸に命を懸ける姿に、「好きで生きる」ことの尊さと残酷さを感じます。

✦ 喜久雄と大輔の関係性が“美しい”

ただのバディではない。
ただのライバルでもない。
ふたりは互いに依存し、支え、破壊し合う。
その関係は、人間の深い部分をえぐってくるようでした。
愛とはなにか、絆とはなにかを考えさせられます。

✦「孤独」もまた、芸の一部

喜久雄の孤独は、読んでいて胸が締め付けられます。
けれど、彼の孤独がなければ、あの表現にはたどり着けなかったのかもしれない。
表現することの痛みと美しさ、その両方を強烈に突きつけてくる一冊です。


■ こんな人におすすめ

  • 表現者の生き様に惹かれる人
  • 歴史×芸能×人間ドラマが好きな人
  • 熱くて重くて深い「男たちの絆」に心を震わせたい人

■ 心に残った一文

「舞台の上で生きるということは、舞台の外では死んでいるということだ」

この言葉にすべてが詰まっているように思いました。
「本当に生きる」とはどういうことか。
読後、静かに自分の人生を見つめ直す時間が訪れました。


■ まとめ

『国宝』は、“人生を何に懸けるか”という問いを読者に投げかけてきます。
華やかな世界の裏にある、孤独と献身、情熱と犠牲。
それでも「舞台に立ち続ける」ことを選んだ男たちの姿に、
私たちもまた、何かしらの“国宝”を背負って生きているのだと気づかされます。


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