【過去に縛られるあなたへ】

希望はいつだって、“だまし合い”のその先にある──
道尾秀介『カラスの親指』書評

「もう人生、詰んでるのかもしれない」
「やり直したくても、手遅れなんじゃないか」

そんな風に思ったこと、ありませんか？

そんなあなたに手に取ってほしいのが、
道尾秀介さんの傑作『カラスの親指』です。

主人公は、過去に大きな喪失を抱えた中年詐欺師のタケとテツ。
ふとしたきっかけから、三人の若者と共同生活を始めることに。

それぞれが心に傷を抱えながらも、
少しずつ笑い合い、信じ合い、
「過去をだますように」前を向いていく──

でも、その先には思いもよらぬ計画が待っていて…。

✅ 「だます」ことが、優しさになる物語
詐欺師が主人公なのに、不思議とあたたかい。
不器用な人たちの絆に、胸がじんわりします。

✅ 過去を乗り越える、静かな力をくれる
やり直したい。でも怖い。
そんなとき、「一歩踏み出す勇気」をくれる物語です。

✅ 伏線の回収がすごい！
後半の“どんでん返し”は見事の一言。
最後の1ページまで、気を抜けません。

・自分の過去に後悔がある人
・もう一度やり直したいと思っている人
・人間関係で傷ついたことがある人
・感動だけじゃなく、驚きも味わいたい人

この物語は、
「信じることが怖い人」に、そっと寄り添ってくれます。

どん底の人生でも、
誰かと出会い、信じ、笑い合うことで、
もう一度、やり直せるかもしれない。

『カラスの親指』は、そんな希望を感じさせてくれる作品でした。