――その“事件”を、誰が語るのかで、世界は変わる。
📝 あらすじ(ネタバレなし)
映画監督の長谷部香と脚本家の甲斐真尋。
二人は、かつて世間を騒がせた「館林夫婦放火殺人事件」を題材に映画化しようとしていた。
なぜ今、その事件を掘り返すのか?
被害者の妹である真尋の胸に去来する思いとは?
そして関係者たちが語る「記憶」は、どれも少しずつ食い違っていた――。
「誰が」「なぜ」語るのか。
その先にあるものを、湊かなえは鋭く、静かに描いていく。
💭 感想:誰の“物語”を信じるか
湊かなえ作品の中でも、本作は群を抜いて静謐で、深い。
誰もが、自分の視点から語る。
それは、時に「真実」を歪め、時に「罪」を軽くする。
でも、どれも“嘘”ではないのかもしれない。
登場人物たちがそれぞれに「語る理由」を抱えていて、
それが読み進めるごとにジワジワと浮かび上がってきます。
最後に明かされる事実が突きつけるのは、
「あなたは、どの視点で人を裁いていたのか?」という問い。
読み終えてもしばらく、胸が締めつけられたままでした。
🔎 おすすめポイント
- 記憶と証言のあいだにある“揺らぎ”を丁寧に描く
- 「語ること」の意味を根本から問い直す構成
- 湊かなえ作品の中でも、心理描写が緻密で読み応えあり
🧩 こんな人におすすめ
- 社会派ミステリーが好きな人
- 真相を追う“過程”をじっくり味わいたい人
- 物語に“問い”を求める人
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🪞 読み終えたあなたに問いかけたい
「この事件、あなたならどう語りますか?」
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