『俺ではない炎上』感想|“正しさ”の炎は、誰の心にも火をつける

ミステリー

🔸はじめに

「自分は、炎上とは無縁」
そう思ってた。
でもこの物語を読んで、ふと気づいたんです。

“誰かの炎上”は、もしかすると“自分の心”も焼いているのかもしれない。

SNSで生きることの息苦しさ。
正義が、いつの間にか誰かを追い詰めている怖さ。
浅倉秋成さんの『俺ではない炎上』は、そんな現代のリアルを静かに突いてきます。


🔸あらすじ(ネタバレなし)

人気YouTuberがある暴露動画を投稿したことをきっかけに、
ネットでは「正義」を振りかざす声が広がっていく。

そして始まる、ネット上での吊し上げ。
しかし、誰かの“正しさ”が火を放つとき、燃えるのは“悪”だけとは限らない。

無関係だったはずの「俺」もまた、その火に包まれていく――。


🔸読んで感じたこと

読んでいて、自問自答してみた。

  • 自分は誰かを守るつもりで、誰かを追い込んでいないか
  • 炎上を見て安心していたのは、自分が燃えていないからじゃないか
  • 「黙ってること」が本当に中立なのか

SNSや日常の中で、知らず知らずのうちに誰かを傷つけていたかもしれない。
そんな自分の影を見せられたようで、怖くもあり、でもありがたくもありました。


🔸印象的だった一文

「あの人を許せなかったのは、自分が一番、あの人に似ていたからだ。」

読んでいて、なるほど、、、と思いました。
どこかに置いてきた感情に、静かに手を伸ばされたような感覚。
この作品は、“言葉の暴力”だけでなく、“言葉にならない感情”にも焦点を当てています。


🔸こんな人におすすめ

  • SNSでの言葉のやりとりにモヤモヤしている人
  • 炎上や「正義」の怖さを感じたことがある人
  • 他人の失敗に、なぜか安心してしまった経験がある人
  • 『六人の嘘つきな大学生』が心に残っている人

🔸まとめ|“正しさ”とどう向き合うか

この作品は、誰かを裁く物語ではありません。
むしろ、「自分が正しいと思っていたもの」が揺らぐ瞬間を描いています。

正しさはときに優しさとすれ違い、
そして、沈黙さえも「悪」とされてしまう時代。

それでも、誰かの心に火をつけない言葉を、僕たちは選べるかもしれない。

そんな希望を、私はこの本の最後に見た気がします。


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